老舗精神は永続する力となり社会資本をかたどる

 老舗の暖簾を守るのは、伝統と革新の連続、創業理念と弛まざる継承、長期雇用の社員と社会への貢献、すなわち、永続する力である。現代の老舗像を考えるとき、上場・非上場の別、創業家・非創業家の別より先に、企業を清算価値とみるか、永続的存在とみるかによって見方は異なる。

 本協会の理念は、上場・非創業家・清算価値に重きをおく昨今の企業認識とは別の道を探ることにより、企業は社会の公器であるがゆえに、永続性という健全で長期的な繁栄を求める経営体を老舗精神Spirit of SHINISE [ʃinisé] と呼んで、その本質を学び、古来よりの老舗的価値観に新しい意義を付加して、22 世紀、23 世紀の社会資本(社会的インフラおよび間柄の絆)となりうる老舗精神を構想するものである。

 老舗精神は永続する力となり、社会資本をかたどる。本会の目標は、グローバル化がグランドデザインを伴った地域化のことならば、地域で成長した老舗精神をどのように世界化するべきか(グローバルNOREN 化)を、会員企業と共に実行することである。

 本協会の目的は、(1) 健全な社会に健全な企業が宿るように、創業年に係らず、百年先をみつめて行動する百年企業を健全な社会の上に築き上げ、(2) 基本理念が現実の経営の導きの糸となり、革新の連続性が伝統を創造する老舗精神の本質を考究し、(3) 最高の顧客満足を実現するために、最善の社員満足を実践し、(4) 世界一の老舗大国の務めとして、老舗の世界観とそれを支える倫理観を世界に伝えることである。

注:
老舗の語源の一つとされる世阿弥の「かようの万物の品々をよく仕似せたらんは・・・」(風姿花伝)や、西鶴の「仕似せおかれし商売」(日本永代蔵)は、先達が説いた道をまずは真似ることの大切さを教え込み、創業者の仕事に似せていく過程で生まれ伝承される何か本質的なもの、普遍的なものを示唆しています。近世の日本人は、仕似せとは基本理念であり、企業DNA であると熟知し、仕似せとは、老舗というかたちになる前の、その精神Spirit of SHINISE を表しています。

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